河童日記

暇つぶしです

道楽

暑い。ただ暑いだけならまだしも、湿度が高いから参ってしまう。去年まで愛用していた扇子が壊れてしまっていて、今までは扇子無しで耐えていたのだが、さすがに我慢ならなくなって、今日新しく扇子を買った。

先代の扇子は高校の修学旅行の時に京都で買ったもので、思えば6年ほど使っていたこととなる。扇子を買おうと小さな扇子屋に入った時、ふと目を引かれて手に取ったものだったのだが、手に取った途端、店主に目の付け所を褒められて、良い気になって買ったのである。友禅染の藍が美しい扇子だった。そのせいもあって大切に使っていたものだが、それにしても長持ちしたものである。結局壊れてもなお、捨てられずにしまってある。今回は東京駅の近くの店で買ったから、昔の都と現在の都でそれぞれ一つずつ扇子を買ったことになる。油断すると色々なところで扇子を買い集めてしまいそうなくらいだから、緊張感を持たねばならぬ。

昔ながらの色は、奥ゆかしい美しさがあって良い。今回も色に惹かれて買ったのである。友禅などの類ではないが、中々良い色なのである。あまり高すぎても分不相応であることを考えれば、良い買い物をしたようである。

花火の中でも、昔からあるようなものを和火というらしい。調べてみると、なるほど一番私好みの色合いである。色の好みというものがどのように決定されてくるのかはよく分からないが、多少の振れ幅はあるにしても、結局私は和色が好きらしい。浮世絵や着物に見られるそれらの色のどこが好きなのか、形容するのは難しい。ただ堪らなく惹かれるのである。

私の研究テーマは、色が多く出てくるのが特徴である。金属の微粒子を水に散らすと、様々な色を呈するということに基づいているのだが、せっかく沢山の色と触れ合うのだから、実験ノートに書き留めておく色を伝統的な名前で表記してみても面白いかもしれぬ。